「やはり主は大事だものなあ?」


またあの不気味な笑みを浮かべながら、オレに不意打ちを仕掛けた男がオレ等を見下す。

オレが相手をしてやる奴も、それを分かっていたのだろうか。

だから感情的になったふりでもしていたのか? 少しでもオレが油断するように。

そうだとしたら人間のくせに妙な真似をしてくれるではないか。


「くっ……海理様ご無事で?」


覆いかぶさるように上にいた雪が、やや悔しそうな声をあげながらもオレの心配をしてくるが、弾がかすめたのだろう。

雪の右肩からは僅かに血が滲んでいた。俺がその傷を見ている事に気付いたのか、

雪はふっと笑い“平気です”と。妙な怒りが沸々と込み上げてきた。