永久の贄[BL]

「人喰いは当の昔になくなった。あったとしても最初の頃だけだ。
オレやそこにいる奴も肉食系の血は流れているが、人間を喰った事はない。
想い込みも甚だしいな。人間と言う種族は」


別の意味では喰ってはいるが。……いや、話はそれではない。

仲間であった彩十を犠牲するのか、だ。まあ奴らからすればもうそんな事はどうでも良い話だろう。

オレや雪達からすればどうでも良くない話なのだがな。


「海理様、これ以上話しているだけ時間の無駄です! 此処を突破しましょう!
そもそもこんな下衆どもに使う時間なんて本当はないのですから」


確かにそうなのだが、正にその雪の言葉は村人連中の燃えるような怒りの心に油を注いだようなものだ。

簡単には突破は出来ないだろう。