永久の贄[BL]

「ところで海理様」

「何だ」

「何だか嬉しそうな表情をしていますが、何か良い事でも?」

「ああ……お前は聞いていなかったのか。彩十が昨晩の飯を完食したそうだ。哉が教えてくれた」


他愛もない話をしつつ、早一時間。突然前を走っていた雪が立ち止まった。

その雪が纏っている見えない気は決して穏やかな物ではない。

どうやら最初のお出ましのようだ。その証拠に、雪は普段見せない鋭い爪を露わにしていたから。


「……隠れても無駄だ。匂いと気配ですぐ分かる。この卑しい匂い、忘れはしない」


独り言のように雪が普段よりも低い声で森中にそれを響かせれば。

もう隠しきれないと判断したのか、背後と前方からそれぞれ二人ずつ姿を現した。

その手には猟銃や刀等、自分達がそれぞれ使いやすい武器を所持している。確実にオレ達を殺す為の道具だ。