雪が寝静まってから早三時間。雪自身が決めた時間になっても起きる事はなかった。

別に一日や二日寝ないくらいならオレは平気だからどうってことはないが。

相当疲れていたのだろう。幾ら狼で尚且つ長距離は走れるとはいえ、

鬼のオレとは体力には差がありすぎる。この距離が丁度継続して走る限界の距離だったのだろう。

眠る雪の頭を軽く撫でてから空を見上げ、物思いにふけた。

やって来た村人連中を仕留める事が出来た事は、移動中に哉から聞いたからとりあえずは安心したが。

そんな事よりもこの一連の騒動が彩十の身体に響いているのではないかとそれだけが気がかりだ。

それが原因で寿命がまた縮まったらと思うと……村人連中を八つ裂きにしたくなる気持ちに襲われる。

まだ一日しか離れていないのに、もう恋しくなる。

早くこの事態にけりをつけて傍にいたい。完全回復したら抱いてやりたい。