とても辺りが騒がしく聞こえる。何があったのかなんて聞く事も出来ない。

気になっても、知る事が出来ない。なんて苦痛なんだ。


「彩十さんが気にするような事ではないと思いますよ?
今の彩十さんにはこの騒ぎだけでも身体に響くと言うのに、
何を考えていらっしゃるのでしょう……全く。あ、それよりも……」


俺以外に部屋にいたのは月花だけ。月花に何があったのかを目で訴えてみたが、

月花も何があったかは分からないのか、それとも知っていて俺に気遣ってくれているのか、

教えてはくれなかった。だがその代わりに。


「この騒動が落ち着いて、ババ様がこちらに来たらこの秋桜、水を淹れた瓶に差しておきますね。
このままでは枯れてしまいますから。海理様がお守り代わりに渡したものです。大事にしないと……」


そうだな、と言いたかったけれど眠気が勝ってしまい。

頷く事も出来ずに眠りに落ちた。……本当にこれは俺の身体なのだろうか。