「海理……」

「なんだよ、そんな暗い顔して。ババ様らしくもない」


珍しく重い空気をまとうババ様に対して不思議がっていると、

ババ様は耳元でぼそりとある事実を教えてくれた。

その言葉に一瞬時間が止まったような感覚に陥ったが、今はただ。


「それがなんだよ。永遠の眠りよりも幾分か良いじゃないか」

「じゃが、お前は……」

「オレは長だ。これくらいで崩れる脆い精神力じゃない」


ババ様がまた珍しく心配してくる方が心配だ。

それ以上ババ様の言葉を聞かず、雪の腕を強引に引っ張りどさくさにまぎれて里から出た。