少し人里を離れた俺の住む村では、不定期に贄を送るという儀式が古くから行われている。

何処に送るのか。それは村の外れにある森。

その森の向こうには異形と言われる者が住んでいるそうだ。

実際殆どの村人はそれを見た事がない。見られるのは贄になった者くらいだろう。

その昔の事。村では異形の者が度々村の住人を襲う事があった。

理由はねぐらを荒らした、妻を傷付けられた等……自分達に不利益が生じた為だ。

しかもその大半が、村を襲う為の偽りの言い訳。

つまりは実際被害にあった訳ではなく、ただの腹いせで襲う者もいる訳で。