これはオレの中では意外な出来事だ。ずっと暗い顔のまま沈んでいると思ったから。

「……寝ぼけた事を。俺の身体は俺が一番知っている。
村長が仕掛けた呪いがババ様の力で進行が緩和されているとはいえ、
ジワジワと何かに身体の中から食いつぶされているような感覚が大きくなっているから」


それを聞いてしまうとむしろオレが暗くなる。

彩十がまるで自分の死を受け入れているようで。

いや、それを思ったら余計に苛立ちが先行してしまう。


「お前、何勝手に自分がもう死ぬって決めつけているんだ? 決めつけるには」

「まだ早かったな。…………助けてくれるんだろ? 俺もこの里も」

「ああ」


そう言って、彩十はまた笑った。恐怖の一つも見せないで。

……と、思いきや。