長い沈黙が流れたかと思えば、哉がそれを破る。もう用はないから帰るそうだ。

見送りをしたかったけれど、雪と月花に止められる。足を痛めているから少しは休ませろ、だそうだ。

代わりに二人が見送りに行った。だから部屋には俺と海理の二人だけ。

……あまり、なりたくなかったけれど仕方ないか。


「海理。ないとは思うけれど俺が万が一死んで、お前だけが生き延びたら。
その時もし苦しかったら村を壊して良いからな? 俺になんて気を遣わなくて良いから」

「また言うが、お前はいつからオレに口出し出来る立場になったんだ?
オレとババ様がお前を助けるんだ。そんな事起こる訳ないだろう? そんなお前の命令なんて聞くものか」


海理は笑って見せるけど、何だかその笑顔も痛々しい。いつものような自信にありふれた不敵な笑みは何処へやら。