「安心しろ。儀式はほとんど済んだから。残す行程はあと一つだがすぐ終わる」


……って事は、俺は村に戻っても良いのか?

いや、贄なんだから村に戻れるなんて事はないか。

贄になった人間は二度と戻る事は出来ないって言うし。

じゃあ、この男から解放されるって事か? もう少し俺に分かりやすく言って欲しい。

いや、それよりも……。


「ずっと気になっていたんだが、儀式って何だ?」

初めて声を発したけれど、何か枯れているように聞こえるのは気のせいだと思う事にしておこう。

すると“長”は何をいまさらと言わんばかりの顔をして、溜息を吐くと儀式の事を説明しだした。


「そちらの村で言う、婚礼の儀だ」


成程、婚礼の儀か……って婚礼の儀だと!? 俺が驚くのも束の間、“長”は淡々とそれについて語り出した。