永久の贄[BL]

「あ、長兄ー! お話終わったの?」

「ああ。お前達、彩十と楽しく遊んだか?」

「うんっ! 彩兄ね、長兄が好きかって聞いたら顔赤くしたんだよー?」

「そうかそうか」


……会話の内容はともかく。雪や月花と出掛けた時、たまに海理の仕事風景を見る程度しか知らなかったけれど。

やっぱりこうして見て改めて思う。海理はこんなにも無邪気で優しい笑顔を作れるんだな、と。

俺にも見せてはくれるけれど、それとはまた別の笑顔を。

誰かが失敗をした時も、必要以上に責めている所を見た事がない。

……俺には必要以上に攻めては来るが。

風邪でこいつが寝込んだ時の里の住人の姿を見ても思ったけれど、俺は見た事がない。

ここまで誰からも愛され、慕われる長を。

俺の村の村長は贄の儀式があったせいかもしれないけれど、

誰からも愛され、慕われている訳ではなかったから。