何だ、それくらい簡単な事じゃないか。オレは人間よりも体力がある。

それ位、二日で取りに行ける。ババ様もそんな普段の様相だけでも恐ろしいのに、

更に恐ろしい顔をするなって。それ位、さっと行ってさっと帰ってくれば……。


「満月の夜にしか汲み取る事の出来ぬ湖の水じゃぞ!? 幾らお前が丈夫だからと言ってもじゃなあ……」

「ババ様、落ち着いて下さい! 満月の夜って……」

「月花は昔から賢いからワシが言う事もすぐ分かってくれるから嬉しいのう……」


そう言う事か。次の満月は確か二十五日後。彩十は一ヶ月持つか持たないか分からない。

つまりは…………確かに、それは難しい話だな。持ってくれる事を願うしかないのか。


「距離はお前が楽に行ける距離なのはワシだって重々承知じゃ。
じゃが、幾らワシらでも月の満ち引きには勝てぬ」


だろうな。もし知らないで言っていたらババ様だってこんな恐ろしい剣幕にならないから。