「彩兄いじめるの、長兄(おさにい)でも許さないんだからね!」

「そうだそうだ」


……本当、よく懐かれたものだ。オレの知らない所でよくもまあ。

彩十はどうだと言わんばかりの表情でこちらを見ている。

まるで勝ち誇ったかのように。何に勝ったんだ、お前は。


「……ババ様はなんて?」


溜息を吐きながら、後ろにいた弟子の奴に聞いた。

すると弟子はオレの突然の問い掛けに驚きながらもこう答える。


「わ、我々の視界に入る範囲内だったら自由にさせろ、と」

「……ババ様、こいつの主はオレだというのによくも勝手に。はぁ、仕方ねえ。おい、彩十」

「何だよ」

「ババ様の所にいる間だけだからな」


仕方なく認めると、彩十が満面の笑みを浮かべてそれを喜んだ。

首飾りを渡した時と同じくらいに。呪われている以外何も知らないとはいえ、本当に危機感のない奴だな。