正直これには少し困る。熱を出した時、大げさに心配されて困ったからだ。

分かっているとは思うが、念の為に“彩十の前では決して呪いの事を話すな”と言われる度に釘を刺した。


「長! 話は聞いています。今日は我々だけで何とかしますので、
長は彩十様の傍にいて下さい。もし何かあったら伝達に参りますので」


集会所に辿り着けば、オレや雪を除けば里の男達の中では一番のまとめ役である哉(さい)が誰よりも早くそこにいて、

やはり既に知っていたからか、オレが言う前に不在になる事を認めてくれた。

こう言う時だけはババ様の仕業であれ、話が早く広まった事に感謝しよう。


「ああ、頼むぞ」

「はい!」


哉と別れ、再び家に戻ってから今度は雪と月花を伴ってババ様の元へ。

目的は二つ。彩十に会う事、それから呪いの解き方を聞く事だ。