永久の贄[BL]

「海理様! 申し訳ございません! 私が湯をいただいていたばっかりに」

「気にするな。オレの部屋まで戻るのもなんだし、此処で話そう」


二人を部屋に入れ、これまでに起こった出来事を全て話した。

その二人の態度は悲しげになったかと思えば、もう怒りに変わっていた。

オレはまだ怒りと悲しみの間にいるのに、二人は大したものだ。


「海理様、すぐにでも村の連中の首を切り裂きましょう」

「私も雪と同じ意見です。幾ら彩十さんが贄でも、やって良い事と悪い事が……」


オレもそうしたい。だがしかし……。


「彩十がそれを許さないだろう。
許していたとしても、呪いが解けなければ元も子もない」


そうだ。彩十が許さない。村はアイツが育った場所。

そこまでを奪えば、アイツはきっと泣くだろう。アイツの悲しみの泣き顔を見るのは嫌だから。