永久の贄[BL]

「おかえりなさいませ……あれ、彩十さんは?」


家に帰るなりやって来た雪が彩十の不在をすぐに聞いてくる。

“ババ様の所に泊めさせた”だとだけ言えば、更にその表情は不安そうな顔になる。

そりゃそうだな。ババ様の所に泊まるなんて余程の事がない限りあり得ない事なのだから。


「月花は?」

「あ、ただいま入浴中ですが……」

「そうか。じゃあ月花が出てきたら二人でオレの所に来い。
そしたら彩十がババ様の所にいる理由を教えるから」


“分かりました”と深く頭を下げた雪の傍を通りすぎ、

雪と月花がやって来るまでの間にやるべき事を済ませておこうと思い、

まずは彩十の部屋に向かった。どうせ滞在期間は長くなる事は間違いない。

だから必要な着替えくらいは持っていてやろうと思ったから。

月花は風呂の時間が長い。

何時入ったかにもよるが少なくとも三十分は出てこないだろう。それだけの時間があれば余裕だ。