彩十の方を見れば相変わらず苦痛の表情で、ずっと胸を押さえたまま。

息遣いも先ほどより荒くなっているような気がした。


「なんじゃ、海理。もうお前は治ったじゃろう……?」

「オレじゃねえ!」


のろのろと現れ、そしてまだ状況を把握していないババ様は暢気に言う。

しかし彩十の姿を見てさっきの弟子の連中と同じように目を大きく見開いた。


「お前ら何をやっておる! 奥の部屋を開けんかぁ!」


ババ様がここまで怒鳴り散らしているのは多分オレの記憶の中じゃ数回しか見た事がない。

まるで全てが只事じゃ済まされないように見えてくる。

するとババ様はその奥の部屋へと誘導してくれ、そこに敷かれた布団に彩十を寝かせた。が、

その直後に“処置をするから”と、オレだけ部屋から追い出された。

おいおい、傍にいてはいけないのかよ。