「もしお前があとひと月ほど生まれるのが遅ければ、もう少し雰囲気が出たんだけどな」

「は? それってどうい…………っ!?」

「彩十?」


急に胸が、特に心臓辺りが誰かに強く掴まれたかのように激しく痛む。

……苦しい。胸を抑えて痛みを堪えようとしても、痛みが緩和する訳でもなく。


「……うっ…………あ……」

「おい! しっかりしろ!」


海理の俺の呼ぶ声がどんどん遠ざかって行く。

俺、まさかとは思うけれどこの謎の痛みで死んじゃうのかな? 嫌だな、そんなの。