意味が全く理解する事が出来ない。

俺は目と鼻の先で不気味な位に怖いと感じるその笑顔から、無性に逃げ出したくなった。

ああ、やっぱり覚悟は揺らいでしまった。だけど俺は逃げる事は出来なかった。

身体に力が入らなかったからだ。怖さで身がすくんだとかじゃない。

身体が妙に熱くなって、脱力してしまうのだ。

俺のあごから手を放した“長”は、俺のそんな状態を見て何を思ったのか、

俺の腕を強引に引っ張り、そばの布団に倒された。

何かを考える暇もなく、唐突にやって来たのは口に触れる柔らかな感触だった。

これはまさかとは思うが。この男……。


「うっ」


口の中に入って来るザラリとした感触。これは間違いなく、“長”の舌だ。

何で俺がこいつと口付を交わさなければならないんだ!

抵抗をしようにも手は抑えつけられたままだし、身体に力は入らないしで。されるがままだった。