「喰うならとっとと喰えば良い。その方が俺は楽だから」


死ならもう覚悟は出来ている。後はその覚悟が揺らぐ前に喰われればいい。

喰われるのはほんの一瞬。痛みなんてないだろう。

なんて考えていたら、“長”は俺に近付き、

その細い手で俺のあごをクイッと軽く持ち上げた。顔がかなり近くにある。いよいよ……か?


「お前、名前は何と言ったか」


俺からすればそれは意外な言葉だった。これからある意味“殺す”奴の名前なんか聞いて、

一体どうする気なんだと。と言うか、俺の名前知っているよな?

そうでなければ俺を指名する事なんて出来ないから。


「……名前なんて聞く必要なんてあるのか?」

「ああ、あるさ。何故ならお前はオレのモノになるからだ」


今、とても聞きつてならない言葉が聞こえて来たのは気のせいだろうか。

俺がこいつのモノになるだって?