「ま……」


「…?」


「……まおは…?」


「ああ、お前はまだ行方知れずとされて―」


「まおも日本に行く!!」


「…!」

「!」

「…!?」


いつになく強い口調で。

普段あまり主張しない自我を。

不安なときに見せるあの表情で、瞳を揺らしながら言う真裕に少しばかり驚いたのは、俺だけじゃない。


「……残念だがそれはダメだ、真裕」


「どう…して…?」


「日本に帰っても、それはそれで楓くんも大変だろう。そこにお前がいてみろ。さすがに気付かれるぞ」


「……」


今にも泣きだしそうな顔で俺を見る真裕。

さっきのこともあって、俺は……。

…俺は…目をそらしてしまった。



「我慢しなさい。しばらくの辛抱だ」


「……っ」


―バタンッ


「真緒!」