「…は?」


ドタバタと騒がしい足音をたてて駆けてきたのは、大体想像もつこう。真裕父だ。


「楓くん! すまない。私のミスだ」


「え?」


「どないしましたん真緒たんパパ」


いつになく真剣な目で、顔色は若干青ざめている。


「君がここに…パリにいることがバレてしまった。すぐにうちだと気付くだろう。今すぐ日本に帰りたまえ!」


はあ…!?

なんでそんなことに…。



「……父様?」


「真裕!」


…!


「どうしたの? いつもの十倍くらいうざ……騒がしいけど」


「今うざいって言いかけなかったかい娘や」


「気のせいよパパ」


「そうかね娘。……とこんなことをしてる場合じゃないのだよ。楓くんがここにいることが知れてしまった」


「…………」


「すまない。これは本当に私のミスだ。こうしている時間ももったいない。楓くん、すぐにうちのヘリポートへ向かってくれ。新たにジェット機を手配した」


あら……たに?

新たにジェット機?

……藤峰家…恐るべしだな…。