え……。

なに…? なんか…。



―とくん…



なんか……。

胸の奥が、痛い。



「かっ……!!」



もう一度、名前を呼ぼうとしたとき。

それを遮るように、かっくんの唇があたしのそれに重なっていた。


ずいぶんと長い時間だったように思う。

実際はほんの数秒程度。

なのにあたしには、何分にも何十分にも感じた。


「……」

「……」


やがて静かに離れたかっくんは、黙ってあたしを抱きしめた。

強く、強く。


「…都合のいいようにしか受け取んねぇぞ」


「うん…?」


なんかよく分かんないけど……それでいいんだよ。

…たぶん。


「ハア……。あの五年より、この数か月のほうが長かった気がする…」


「ごねん?」


「いいんだよお前はもう」


「?」


…ふふっ。いいんだって。