「ハア…」
その後なんとかその場を切り抜け、肩の力を抜いた。
あたし…苦手なんだよね。
命令口調っていうの? 父様の言う“凛とした態度”。
でもあたしが藤峰の令嬢だと知っていたからにはそれを崩してはいけない。
なんてめんどくさいんでしょ。
でもまあ父様ならまだいい方だ。
まともだと思う。
一昨年の暮れに亡くなったおばあ様なんて、「下々の者と関わるなんて許しませんっ! 家庭教師を雇えばよいのです。学校などと野蛮なところへ行くんじゃありませんよ」……って言ってたんだから。
下々の者て。
いつの時代だよって感じ。
悪い人じゃないんだけど……元々お嬢様でさらに藤峰家に嫁いだせいか、人を見下す節があった。
「…んで」
そういうことは今どうでもよくて。
結局かっくんはどこ? まだ来てないのかな…。
うろうろしながらちょっと落ち込んできたときだった。
「あ……!?」
今…曲がり角を曲がったのって…。
「かっ……くん……?」

