「あら。喧嘩じゃなかったの」


「なんや~…つまらんな」


りんりんとしゅっちゃんまでそう思っていたらしい。

なんで?

まおずーっとかっくんに会いたいって言ってるのに。


「?」


後ろに向いて首を傾げ、ふと前を見たときには……。


『ハァイ♪ハニー達! 待ちに待ったレッセルのわくわくクッキングタイムだよ~♪』


「……」


金髪でバラを咥えたお化粧してそうな感じの王子気取りのふりふり服を着たヘンな男が画面の中で踊っていた。


「にゃーっ! なによあんたーっ。かっくんどこー!」


「わああ! やめろ真裕~! 壊れるじゃないかっ。特注なんだぞそれ!?」


「父様の特注好きなんて知らないっ」


かっくんが消えてたことに腹をたて、ぐわんぐわんと大きなテレビを前後に揺らす。

父様はそんなあたしを慌てて止めに…………は入らずに、おろおろしてそう言った。


「えーんっかっく~ん…」


一瞬しか見れなかったよう…。


「に…しても…なんでテレビなんか出たんやろな?」


「あれうちの学校だったわよ?」


「え、そやった?」


「きっとあれじゃない? 軽井沢で音楽祭やるでしょ、あれの出場メンバー決めるやつよ。それをうまいこと利用しちゃったのよあいつ」


「利用て…」