テレビのまん前を陣取って、ぽうっとかっくんを見つめるあたし。……と、梨音。

後ろで父様達は唖然としていた。


『彼の演奏は久しぶりですね?』

『そうですねー。さすがとしか言いようがありませんな』


テレビのコメンテーター達が感嘆のため息を漏らしながら呟くように言う。


「邪魔っ邪魔! かっく~ん!」


「いや…真緒。テレビに言ったってね?」


「そこらのミーハーと何が違うんか、俺にゃようわからんで」


「相手からも思われてるってところが決定的に違うわよ。それだけだけどそれがすべてよ」


「まあ…なぁ…」


交響曲第七番だ。

まおも好きだお。

一緒にやりたいなやりたいな。


「まおや? ぬし、彼と喧嘩してたんではないのかね?」


「誰が?」


「や、だからお前さんが」


……喧嘩?

まおが? 誰と? …え、かっくんと?


「……そおなの?」


「違うの?」


「違うお」


なに言ってんの父様ってば。

やあねもう。