「星野くん」


「……」

「……」


「……公の場での演奏は久しぶりのように思いますが、いかがでしょう?」

「今後コンサートなどやる予定は?」

「ウィーンなどでの活動は考えていないんですか?」


……ほら…な。

…ま、それでも面倒なことは変わりない。


「え"」


ぽいっと蓮二を前に捨て、その隙に……逃げた。


「ま、待て楓!」


「頑張れ」


こういうときのために……来てくれたんだろ?


笑いをこらえながら、久しぶりにゆっくりと街を歩いた。








真裕……。

今、行く。

だからもう泣かずに待ってろ。




「真裕……」