次第にざわめきだす場内。
「かっっっっこよかったぁ~!」
「生きててよかった…❤」
「来た甲斐あったな」
「あれが……星野楓かぁ…」
感嘆のため息を漏らす者も少なくない。
カメラを持った彼らも例外ではない。
「なるほど…天才と呼ばれ続けるわけだ」
撮ることも忘れ、ただそう漏らした。
…これだ。
これなんだ。
全力の演奏で圧倒させる。
人々の心に浸透し、穏やかにする真緒ちゃんのものとは少し違う。
圧倒させ……いわば、感服させるんだ。
それができる。
それが、星野楓という男だ。
彼には敵わない。
音楽家としてはもちろんのこと、男としても、人間としても。
言葉無くしてすべてを収める。
どんなに才能があろうとなかなかできることではない。
「やっぱり……敵わないな」
思わず、苦笑いをこぼした。

