それからもあまり聴き応えのない演奏が続いた。
誰しも実力がないというわけではない。
仮にも、この宝院のSクラスにいるんだ。
緊張……というのもあるだろう。これだけカメラがあればまあ…。
といっても、実際何か足りないものがあるのは確かだけど。
楓くんは……最後か。
そうだろうなとは思ったけど、残すところ二人ならしいとこを見ると、まあそうだろう。
彼のあとに演奏できるのは真緒ちゃん……藤峰真裕くらいなものだ。
「ではー次。星野楓。来なさい」
……は?
「きゃーっ❤やっとよ…!」
「長かった~…。このためにこのくそ暑い中休みの学校に来たんだものね」
くそ暑いって。
女の子がそんな言い方しちゃダメだよ。
…いやいやいや。
次が? 楓?
なんで。
後に残されたやつ……可哀そうに。
顔も知らない相手に同情しながらも、待ちに待った瞬間に肩の力を抜いた。
やっと……なに考えてるのか分かる。
楓が出てきて、本来ならここで歓声の一つもあがっていいところだけど……さすがにこの雰囲気で声を出せるものはいなかった。
「では。お願いします」

