この2ヶ月でチャイム音が鳴り響いたことは一度もない。 手のひらから洗濯物が落ちた。 「…誰だろう」 インターフォンに出ると、女の人の声が響く。 『あの、福山社長の使いで、東原さんの専門医師の諏訪と申します。検査をしに来ました』 優しい落ち着いた声。 私はこの声に聞き覚えがあった。 …確か、ノートに書いてあったよね。 検査をするって。 フゥとため息をつき、オートロックのロックを解いた。