モルヒネ



あれから3ヶ月が経った。

あたし達の生活は、今まで通り
平和なもの。

週に一回あたしはシルエ殿下の治療のために
サンマリア城を訪れている。


今日も治療に来た。
たまたま廊下でキースとすれ違った。

「あ!キース。久しぶり!」

「ベル?おお、お前、来てたんだ。」

キースは何だかそわそわしているようだった。

「…。シルエのとこに行くのか?」
少し間を開けて、キースが話しかけてきた。

「うん、そうだけと…」

「ふうん。」

様子が変なので、気になった。
すると、思いがけない言葉をあたしに突きつけた。

「俺さ、シルエ殿下嫌いだから。俺が士官学校入る前から、俺はあいつが好きじゃない。」

キースは何も躊躇せず、誰かに聞かれたら処罰されるようなことをさらりと言った。

「ちょっ…そんな無礼なこと!!!誰かに聞かれたら…」

あたしは焦った。
殿下を嫌いだなんて。


「それだけ。じゃあな。」

ひらひらと手を振って、キースは行ってしまった。


あたしはそこに立ち尽くすことしか出来なかった。


今すぐシルエ殿下の所に行っても
なんだか気まずい。


「やっと、落ち着いたと思ったのに…」











あたしは、そう思った。
もう何も起こらないと。










水面下では、もうすでに
動き出していたとも知らずに。