天神学園高等部の奇怪な面々

アリスカは驚き、混乱していた。

突然物陰から飛び出してきた男子生徒。

黒い髪に赤い瞳、身長はアリスカより少し高い程度、線が細い感じの優男。

中性的な印象さえ受けるその男子生徒が、いきなり満面の笑みを浮かべてアリスカにハグしてきたのだ。

勿論アリスカは彼がシーである事など知らない、初対面だと思っている。

おまけに『アリス』などと呼ばれ、人違いされている節さえある。

更には。

「「あ」」

偶然通りかかったアスラと啓太が、その現場を目撃してしまったのだから始末が悪い。

「天下の往来で抱擁とは…破廉恥じゃな、ロシア娘」

アスラが無表情で溜息をつく。

「破廉恥ゆーな!」

シーを引き剥がそうとしながら突っ込むアリスカ。

アスラの隣では、啓太がワナワナと震えていた。

憧れのアリスカが、転校二日目にしてもうシーと熱烈な抱擁をする仲にまで進展している。

最早自分の出る幕はない…!

「でもっ、でもっ…アリスカさん不潔ですぅぅぅぅっ!」

半べそで走り去っていく啓太。

「や!ちょっ!違っ!啓太待てーっ!」

「あらあら」

狼狽するアリスカの隣で、月がコロコロと笑った。

「アリスカさんお盛んねぇ」

「笑ってないで何とか誤解解け!」