ん、と頷く私を見て、お母さんは笑った。
「ご飯、出来てるからね」
人懐っこい笑みを見て、少しだけ表情が緩む。
いつぶりだろう。
お母さんが笑ったのを見るのは。
“あの日”から部屋にこもり続けてたから、お母さんの顔を見るのさえ、久しぶり。
リビングを抜けて、キッチンに入る。
「…げ。こんなにいらないよ」
テーブルに乗せられた様々な料理に、思わず顔をしかめる。
「何言ってんの。これは全部皐月の分よ。1週間分のね」
早く座りなさい、と顎をしゃくるお母さんに、渋々席につく。
朝からこんな食べれる訳ない。
見ただけなのに、もう胃がもたれそう。

