「だから……!」
―――――皐月。
そう呼ばれたかと思えば、腕を引かれ、温かい胸の中に包み込まれた。
ハッとして息を呑む。
「……聞いて、皐月」
優しいお母さんの声が耳元で聞こえる。
「正直に言うとね。私、あの人がいなくなるなんて、考えたことなんてないの。ずっと何年も一緒にいたから。隣にいるのが、もう当たり前なのよ」
とくん とくん―――…
お母さんの心臓の音が聞こえる。
「ごめんね、皐月。私はあなたが欲しい言葉を与えてあげられない」
欲しい、言葉―――。
「だけどね。今、あの人がいない未来を想像した時。ちゃんと笑えている私がいた」
「笑えて、た…?」
何で?
どうして?

