「どんなに足掻いても戻って来ないんだったら、何もしない方がいい。お母さんはそう思う」
穏やかな声色で紡がれていく言葉は、それこそ私とはまるで違っていて。
ギリッと奥歯を噛み締めた。
「っ…けど!愛する人を失ったら、生きていけない…!」
そう。
お母さんは何も分かっていない。
愛する人がいない世界は、どんなに暗くて、冷たく寂しい世界なのかを。
「何もしないなんて、気が狂っちゃう…!」
握りしめた拳はふるふると震え、体が小刻みに揺れた。
「引き止めなきゃ、離れていっちゃうの…!」
熱い涙が、お母さんの指までも濡らし、私の視界を歪めた。

