「なら、いいじゃない。お母さんだって、そんな野暮なことは聞いたりしないわ」
手際よくすり潰したじゃがいもを皿に盛り付け、お母さんは言った。
野暮なこと―――。
そっか。
ほんとだ、私、何してるんだろ。
お母さんはいつだって泣いてる理由を聞いたりしなかった。
お母さんだけじゃない。
楓もサクも、そして、鏡夜も。
「――――…そうだね」
私だって―――そうだもん。
「ほら、口ばかり動かさないで、早く手を動かして」
「はい」
鋭く一瞥され、肩を竦める。
そしてまた、包丁を握り、サクサクと玉ねぎを刻む。
すると、二人の会話が途切れ、辺りが静けさに覆われる。

