そして。
――――鏡夜なんか、帰って来なかったら良かったっ…!
「……ッ」
鮮烈な記憶に、くらりと目眩がした。
あぁ、私。
取り返しのつかないことを…
じっとそれが収まるのを待つ私の背後から、
「――――あら。起きたの?皐月」
驚いたような声が聞こえた。
ビクッと体を震わし、恐る恐る振り返った私の視界の先に、包丁と玉ねぎを持ったお母さんが立っていた。
「もう夕方よ?皐月、お昼ご飯食べなかったでしょう」
不服そうに眉を寄せるお母さんに、冷蔵庫にある冷し中華の存在を思い出した。
ごめんなさい…と言うと、お母さんはぶつぶつと文句を言いながら台所に向き直った。

