『皐月、俺は―――』
「ずっと考えていたの」
だけど、たとえそれに気づかれていたとしても、私はもう引き下がれない。
聞いちゃいけない―――そう、私の心が叫んでいるから。
『皐月。お願いだか……』
「私は一体どうしたらいいのか。どれが正解で、どれが間違いなんだろうって」
あぁ、もう止められない。
さっきからずっと、ドクドクと嫌な音を立て続ける心臓がつぶやいた。
「ずっとわからなかった。私のことも、鏡夜のことも」
『皐月』
「だけど、ほんとはとっても単純なことだったんだね」
『っ皐月』
「難しく考える必要なんて、きっと何ひとつ―――」
『頼むから、聞いてくれ!』
声を荒げる鏡夜。
俯いたまま、肩で息をする鏡夜。
その背に、私は言葉を落とした。

