『俺は、風邪なんかひかないよ。いや……“ひけない”』
―――あっ…
あからさまに動揺する私を見て、鏡夜は肩を竦める。
『皐月ならわかってたとは思うけど。何だかそんな反応されると、苦しくなるな…』
そう言って寂しそうに笑う鏡夜にハッとして、慌てて首を振る。
違う…
そうじゃなくて……
そうじゃない……
心の中でもう一人の私が何度もそう叫ぶ。
なのに、思った通りに口は動いてはくれなくて。
「きょう…ゃ……」
小さく震える声がやっと絞り出せただけだった。
そんな時。
『ごめん。言い方が意地悪だったね』
優しい鏡夜の声が降ってきて、頭に柔らかい温もりを感じた。

