「どう?」
「うん……」
するりと楓の横を抜け、緑色のフェンスに手をかける。
「――風が気持ちいい…」
「ははっ。皐月ならそう言うと思った」
楓が私の横に並び、グランドを見下ろす。
ぱらぱらと走る生徒が見えた。
それを指差し、楓があれは遅刻だな…とつぶやく。
「…ねぇ、楓」
「ん?」
「さっきは…ありがとう」
どうしていいか、どうしたら私が私でいられるか分からなかった。
「私ね、ひどいこと考えたんだ」
分かったような口を聞かれるのが、とても嫌だった。
知らないくせに。
分からないくせに。
って。

