いつか、きっと。





楓が私のことを想ってくれていたことが。



くすくすと笑い続ける私に楓はため息をついた。





「話、続けるぞ」





いつもより少し高い楓の声にまた笑いが込み上げてくるのを押さえ、代わりに深く息を吐いた。



スッと私の中から興奮が引いていく。



キュッと楓の首を抱きしめれば、それが合図だったかのように楓は口を開いた。





「俺、絶対勝ったって思ったんだ。何か変な言い方だけど。でも……鏡夜はやっぱりすごかった。俺には敵わない、って」





そこで一度話を切る楓。



勿体振るような楓の口調に、私は問い詰めたい気持ちを堪えた。



敵わないって―――一体、どういう意味なんだろう。



そんな時。



私の頭を撫でていた楓の手が止まり、代わりに楓の顔の方へ引き寄せられた。



突然のことに、呼吸するのさえ忘れた私の耳に、楓の穏やかな声が響いた。