鏡夜が差し出した傘を広げながら
どうして?
ともう一度尋ねると、ひょいと私から傘を奪った鏡夜が笑いながら言ったんだ。
――――雨は嫌いでしょ?
って。
ビックリする私をよそに、鏡夜は私の右手を掴みニッコリと笑った。
――――だから来たんだよ。俺、雨は好きだから。
パチパチと傘を叩く雨の音を聞きながら、鏡夜は私にキスをした。
それが、私のファーストキス。
ずっと夢見ていただけあって、それはとても嬉しくて、幸せで。
それに初めてが大好きな鏡夜だったってことが、何よりも幸せだった。
そっと離れた鏡夜の顔を見上げ、はにかんだように笑う。
――――そんな顔ばっかりしてたら、止まんなくなるよ…
そう言って眉を下げる鏡夜の肩越しに、私の傘のリボンが見えて、そのアンバランスさにまた少し、笑ってしまった。

