カチャン…という軽快な音と共に吹き込んできた風が、私の髪を揺らした。
「来いよ、皐月」
ぼーっと突っ立っていた私を、一足先に歩きだした楓が呼ぶ。
その楓の髪を、さらりと風が撫でた。
「か、楓…!ここって…」
「大丈夫。見つからないから」
「そうじゃなくて…!」
私が聞きたいのは、どうして屋上の鍵を楓が持っているかってこと。
普段は立入禁止の場所。
その鍵をどうして楓が―…
「もらったんだよ」
「もらった…?」
「仲の良かった先輩から」
そう言って、中々来ようとしない私を楓が引き込む。
一歩足を踏み入れた途端、夏の風が私の体を包み込んだ。

