「兄貴の前で惚気ですかって言ったら、少しはにかみながら『そうかも』って。何かそれが幸せそうで、癪に触ったんだよ。ムカつく!って」
何だかその話し方がおもしろくて、フッ…と笑う。
ムカつくって……
「だから、皐月は雨が嫌いなんだよって言ってやった。絶対知らないと思ったから。案の定ビックリしたみたいで、『そうなの?』って聞いてきたよ」
あぁ、そうだったのか。
だから鏡夜は知っていたんだね。
するすると紐が解けていく。
――――雨、降ってきたから。
いつかの鏡夜の言葉が蘇る。
そうだ、確かあれは…
――――あ。自分の傘持ってくるの、忘れた…
困ったようにはにかみながら笑う鏡夜の肩は、濡れていて。
私のために傘を持って来てくれたのに、自分の傘を忘れちゃって。

