「――――わかった」
ほんの少しの間のあと、小さなため息と共に吐き出すように楓はつぶやいた。
「お前がそれでいいなら、いいよ」
そう言って楓は私の髪に手を差し込み、ゆっくりと撫でる。
「……楓」
「なに?」
静かに目を閉じ、ゆっくりと楓に全身を預ける。
たったそれだけで、ほんの少し、呼吸が楽になった気がした。
「…さっきのも、鏡夜が言ってたの?」
――――大丈夫。皐月は優しい子だから…
私の質問に楓は驚いたように、一瞬だけ髪を撫でていた手を止め、そしてまたゆっくりと梳くように手を動かした。
「何で、わかった?」
「……わかんない」
「そっか」
フッと楓が笑った気がした。

