「何か番組やってないかなぁ」とつぶやいて、楓はテレビに電源を入れた。
途端に、アナウンサーの女性の声が私の耳に届く。
高くもなく、低くくもない心地好い音程の声が、静かな部屋に響き渡る。
「……明日、雨だって」
「うん。みたいだね」
「洗濯物。乾かないじゃん」
「…お母さんの台詞だよ、それ」
それもそうか。
楓はくすくすと笑い、テレビの電源をプツ――と消した。
静けさの戻る部屋。
…………分かってる。
テレビをつけたのは、私にどう切り出したらいいのかを考えていたから。
消したってことは、その答えが出たんだろう。
その証拠に、さっきからずっと隣からの視線を感じる。

