勢いよく飛び退くのと同時に、カラカラと軽い音が耳に入り、視線を向けると。
「ほら。冷やせよ」
氷を詰めたビニール袋を持った楓が、私に笑いかけていた。
それを受け取りつつ、「ありがとう…」とつぶやくと、楓の瞳が優しさに染まる。
「今日は暑いな…」
私のすぐ隣に腰を下ろした楓が、独り言をこぼす。
その横顔をちらりと見、手にした袋をまぶたに当てた。
ひんやりとした冷気が、熱の篭った皮膚を刺激する。
「冷た…」
「そりゃ、氷だからな」
思わずつぶやいた私に、丁寧に返してくれた楓。
それに笑い、ゆっくりと瞳を閉じた。

