柔らかく、シャンプーの匂いがふわりと香るその髪。
キスされたことに気づいたのか、俺の腕の中で笑う。
――――私も。愛してる、鏡夜…
真っ赤になりながら俺の言葉に応えてくれる、愛しい存在。
………俺は、その笑顔を曇らせることしか、出来ないんだろうか。
――――私を置いて…また一人ぼっちにしても……?
さっきの言葉が蘇る。
必死になって唇を噛み締めた。
そうでもしないと、心の声が声となって、あの人に伝えてしまいそうになる。
『――――皐月…』
震える声で俺を呼びながら、何度も俺への気持ちを伝えてくれた。
“好き”だと泣きながら伝えてくれたのに。
『ごめん、皐月……』
俺は…君を泣かせるために戻ってきたんじゃない。
俺は………
心の中で膨れる切ない想いを飲み込み、俺は家から背を向けた。
頭に浮かぶ泣き顔の皐月に、何度も何度も謝りながら……
*鏡夜Side 終*
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