「……かぇ…で…」
私の元に大股で歩いてきた楓は、私の前に立つと、前髪をくしゃりと掴んだ。
大きなため息をつかれる。
「皐月。結局お前、何も食べなかっただろ」
「ぇっ…?」
「えっ、じゃねぇよ。お前いつか倒れるぞ」
呆れた口調の楓。
じっと楓の顔を見つめていると、おもむろに腕を掴まれた。
「楓…?」
「いいから。……ちょっと皐月借りるぞ」
そう言うや否や、楓は私を引っ張って歩き始めた。
道行く生徒らが、驚いたような顔で私たちを見つめている。
無理もない…か。
もう朝のHRが始まる時間なのに、廊下を逆走してるんだから。

