「行っちゃダメって、なんっ、回も言ったのに…!」
声が枯れるくらい、叫んだのに。
「戻ってきてって…手をっ、伸ばしたんだよっ……!」
必死になって追いかけたのに。
「―――でも…!いつも届かなぃの…!」
どんなに呼び止めたって。
どんなに手を伸ばしたって。
愛する人には決して届いてはくれなくて。
いつも、同じ“絶望”を目にするんだ。
「ッ、う……」
怖くて、怖くて仕方なかった。
目を逸らすことさえ、私には許されない。
ただただ、今にも身がひきちぎられそうになる悲しみを前に、立ち尽くすしか出来ないんだ……
「ひっ……きょぅ、ゃぁ…ごめんね…ご、めん……」
赤ん坊のように泣きじゃくる私を、サクは優しく抱きしめた。

